けんちーのアニメ中心生活ブログ改

『クライマーズ・ハイ』

命を追った、あの夏。




けんちーの家では、8月12日の日航機墜落事故の日が来るたびに言われることがあります。
当時1歳1ヶ月だったけんちーがひどい下痢で父親がずっとその世話をしながら日航機事故のニュースを見てたと。
で、その話ばっかりで肝心の事故が当時どれほどの大事件だったかをほとんど知らなかったので今回のこの映画はすごく関心深く見ることができました。

いつもの映画看板撮影


ズバリものすごく良い映画でした。
インディージョーンズも相当面白かったけど、個人的にはそれに勝るとも劣らない映画だったと思います。
ってことで、以下ネタばれあり。













トーリー概略
1985年8月12日、北関東新聞社(作中で上毛新聞はライバル)の遊軍記者で、販売部の人間が多く所属する「登ろう会」メンバーの悠木和雅(堤真一)は、同じく登ろう会の安西耿一郎(高嶋政宏)と一緒に、県内最大の難関である谷川岳の衝立岩に登山へ向かう予定であった。

最初のシーン、衝立岩に登る計画を立てる悠木と安西


帰宅しようとしたその時、社会部記者である佐山達哉(堺雅人)から「ジャンボが消えた」と連絡が入る。翌朝、悠木は粕谷編集局長から日航全権を命ぜられる。

全権デスクに任命された悠木の下へ情報が集まる


同新聞社にとって、「大久保・連赤」以来の大事件を抱えることになる。(wikipediaより)


感想を箇条書きで。
・1985年の激動の1週間の幕間に爺さんになった悠木と途中事故で植物人間になっちゃった安西の息子が事件の幕開けとなった衝立岩へ上るシーンが挿入されていくんですがそれが雄大で厳しい山の情景を感じさせてくれました。ちょっとグダグダ感も感じちゃいましたが・・・。
・事故1日目。佐山と若い記者の二人で厳しい山中にある事故現場に突撃するんですが、そのもう一人の記者があまりの惨状で精神に異常をきたして道路に飛び出し轢かれてしんじゃうんですね。
事故現場


スクープをものにしようと息巻いていた若者が見たのは・・・520人もの犠牲者の肉片。しかも、その記事は新聞社内の人間関係のゴタゴタで1面記事には載せられなかったっていうんですから狂っちゃうのも分かります。
日航事故の全権デスクに任命された悠木が一癖も二癖もある上司たち、命がけの取材を記事にされない憎しみをぶつけてくる佐山たち、前後する記事の締め切りの時間に猛烈な抗議をしにくる販売部との摩擦、悠木と因縁の深い社長(山崎努)との確執。普段、目にすることのない大ニュースがあったときの戦争のごとき新聞社内の風景が詳細に描かれてて(これがリアルかどうかは分からないけれど)非常に面白かったです。
・事件から1週間が立とうとしたころ、スクープ獲得に燃える部下の女性記者(尾野真千子)が事故原因に関する大スクープを持ってきてそれに関する佐山との調査がラストの見せ場になるんですが・・・。
悠木と女性記者


散々引っ張った挙句、悠木はそれを載せない決定をするんですね。
悠木の決断


で、その特大スクープは、毎日新聞に持っていかれたと。これは、悠木の100%の情報でない限り99%の情報でも載せないという信念がもたらした結果なんですが・・・ある意味良い終わりだったなぁ。
・スクープを逃した翌日、辞職願いを社長に叩きつけ皆に止められる中、編集部を出て行った悠木。その悠木に佐山は事故の犠牲者の一人が事故直前に残した遺書を読み上げるんですが・・・。
遺書を読み上げる佐山


ちょっと、泣きました。『今日まで本当に幸せだった。』と家族に手紙を残したこのお父さん。泣ける。


2時間半という長い映画でしたが最後まで時計に目をやることなく見終わりました。520人もの死者を出したこの大事件。こういう新聞記者の立場から見ることが出来てすごく印象に残りました。
この映画を見て、事件について《知ること》は大切なことだと思えました。