けんちーのアニメ中心生活ブログ改

『20世紀少年〈第2章〉最後の希望』

新たな『終わり』。
待望の第2章を見てきました。
第1章公開時に発表されたカンナ役の女性の1シーンを見たときは『こりゃ、無いだろう』と失礼なことを言ってたりもしましたが、実際に映画で見てみると違和感無かったです。結局、第2章の中心となる2人の女子高生(カンナ・小泉)はどっちも美人さんでした。
まぁ、カンナ役の方は若干鼻が大きいようにも感じちゃいますが、そこは気にしない方向で。
今回は、1作目がほぼ原作どおりに進めたのに対して、ストーリーを相当変えてきてました。順番も根本的なエピソードレベルで前後を入れ替え、ポンポンポンと全体の尺を縮めるためにカットするシーンを大量に生み出し、そもそも重要なエピソードを完全に原作と変える・・・。
こりゃあ、完結篇の第3章は着地地点が原作と大きく変わる可能性ありますね。
ってことで、以下ネタバレと感想を。














細かく解説すると2時間半分処理できないので(w)、箇条書きで。
・まず一つ目の変更点は、黒子の警察官の殺人を目撃したブリトニーが友達ランド、ボーナスステージの体験者としてカンナにそのことを伝える役目も担ったことですね。その後、ブリトニーが殺されたりするのは変わって無いんですが、ここで友達ランドの断片をカンナ/客に伝えることで後々の尺を短くしたのかなと。


・そして、原作では新米刑事・蝶野に発信機入りのお守りを持たせたのが山崎(チョウさんを殺した同僚)だとはっきりしていたのが、映画では母親に貰ったお守りにひそかに黒子の警察官がもぐりこませたって形になってました。山崎が悪いことには変わり無いんですが、蝶野がそのことに気付く機会が無かったことで若干今後影響するのかな・・・と。

蝶野刑事とカンナ



・で、何とそのすぐ後くらいに小泉の登場シーンがあって、しかもいきなり小泉とカンナが二人揃って友達ランドに招かれました。しかも、早々にヨシツネたちも登場するし、いきなり小泉とカンナ(!)がボーナスステージであるバーチャルシミュレーションで過去に行っちゃうし。この辺は場面を替えず、映画のシーンを短縮短縮していこうという意志が大分感じられました。

ともだちランドのアトラクション




・バーチャルシミュレーション内。小泉の方は首吊り坂のエピソードも何もかもを思い切りすっ飛ばして、いきなり屋上でサダキヨの顔を見ちゃうところまで飛んじゃうし、カンナの方はいきなり子供時代のケンヂの部屋に出て、エピソードほとんど省略で深夜の小学校理科室のシーン(ドンキーが飛び降りた件)まで行って、しかも山根くんとともだちの関係とかあの夜のほぼ全てをその場であっさり体験しちゃうし。

ともだちの正体へ迫る小泉



ケンヂとカンナ


とにかく、飛ばして飛ばして短縮してました。ってか、首吊り坂の家の事件とか存在もしないことになってたけど、割と重要な話じゃなかったですか?


・友達ランドから帰ってきて、すぐにサダキヨ(ユースケ・サンタマリア)登場。これは、意外にも役がはまってました。十分、気持ち悪かったしw

サダキヨ


ただ、やはり細かいエピソードはショートカットして、ともだち博物館でサダキヨが放火自殺するシーンまでえらく早かった気がします。


・カンナが寂れた街の映画館で母親・キリコ(黒木瞳)のメッセージを聞くシーン。ちょっと、感動しました。キリコが好きだったというゴジラの息子』の映像(旧型ゴジラとミニラ)の映像も原作どおりに流され、実はゴジラオタクでもあるけんちーは内心凄く喜びました。ゴジラ・ミニラVSクモンガのゾルゲル島の戦いとか、20世紀少年の映画見に行ってる人で憶えてる人がどのくらいいるかなぁ。


・そして場面は第2章のクライマックスとなるしんよげんの書の『きゅうせいしゅのあんさつ』へ。
 と、そもそもこの新宿の教会での話は原作では小泉とカンナが本格的に関わりをもつより前のエピソードであり、当然サダキヨが英語の教師として赴任してくるのもさらに後の話なのでこの時点で、原作とは話の流れが完全にあべこべになっちゃってます。
 さらに、衝撃的なことにそもそも映画では『新宿にローマ法王が視察に訪れて暗殺されかかるのをカンナがマフィアたちをまとめて救おうとする』という設定ですらなく、いきなり新宿界隈でともだちがパレードをするって話に変わっちゃってます。そうなると、ローマ法王の暗殺を防ぐためにカンナがホームレスとタイマフィアと中国マフィアを繋ぎ合わせて、教会で集会を開く(これこそ救世主)というそのエピソード(カジノでの一件もあるはずなし)も根本的になくなっちゃう訳です。
 映画の流れを要約すると、ともだちはパレードの途中でローマ法王と親交のある教会の神父(六平直政・激ハマリ)にアポなしで会いに来ようとしている→カンナはたまたまその時、縁の出来た教会の神父にともだちがやっていることを打ち明けていた→ともだちが来るという情報を得て、ともだち信者が大挙して教会を埋め尽くす→その中に紛れてた黒子の警察官がたまたま相談に来てたカンナの命を狙う・・・と、こういう完全に原作と違う場面設定になってました。


・その瞬間にオッチョが飛び込んできてカンナをかばい、田村マサオが狙撃で黒子の警官を殺すってシーンは確かに格好良かったんですが、一つ言って良いでしょうか?

カンナは俺たちの最後の希望だ!!   by オッチョ


 『これじゃあ、カンナ別に救世主として立ち上がったわけでもなんでもないやん!!無理やりすぎっていうか、最早、矛盾レベル!!』・・・と。


・田村マサオの後を黒子警官のショットガンを拾って追いかけるオッチョは、そのままパレード中のともだちの目の前へ。ともだちとの会話の後、『お前・・・あいつか!?』と原作では深夜の理科室でオッチョが言った台詞が飛び出し、直後ともだちはヤマネの手によって民衆の目の前で殺害(これも本当は深夜の理科室)。そのヤマネも田村マサオに狙撃されて死亡(原作は友民党の構成員によって殺害)、オッチョはドサクサ紛れに逃げ延びました。

ともだちと対峙するオッチョ




・その後、万博2015の開会式と合同で行われていたともだちの葬儀で、国連理事(原作はローマ法王)がお悔やみの最中にともだちは復活。世界中の人々が奇跡を目の当たりにすることによって、『ともだちは神となり、人類を滅ぼす』計画がほぼ完成に近づきました。ちなみに、この争議の進行役は徳光さん(w)ともだちの復活を目の当たりにした時の驚き顔が、普段とあんまり変わらなくて密かに笑えました。あと、ぐるナイの司会でお馴染みの羽鳥さんもアナウンサー役で出てました。


・復活の後、りりりりりんと準備の完了を告げる電話が鳴って、世界中に防毒マスクの悪魔のセールスマンが出現。西暦は終わりました。


・ラストシーンは、ともだち暦が始まった世界の北海道でコンチがリクエストの入らないラジオパーソナリティーをやっている場面、そして、北海道の畑をケンヂがのんびりバイクで走ってる場面でした。いやぁ、良いところで終わる!!


・EDはもちろんTREXの『20th century's boy』。スクリーンの右下には『最終章まで260』という文字が出ていて、それがずっとカウントダウンされていき、ED後の最終章の予告編へと繋がるという期待を高める演出になってました。予告の最後は、ともだちが『そう、僕こそが20世紀少年だ』と宣言するシーンで締められ期待感を大いに高めて終わりました。やっぱり、邦画のEDは良いですな。洋画はEDが味気なさ過ぎて・・・EDが終わるまで帰れない。これが邦画の素晴らしいところです。


と言うわけで、原作と大いに変更点のあった第2章。これが、良い結果となるか悪い結果となるのか、第3章の着地地点がどうなるのか?8月29日の公開日が楽しみです。